北海道から世界の半導体産業を支える先輩たちの生の声をお届けします。きっと皆さんの将来を考えるヒントが見つかるはずです。

成長できる環境が北海道にはあります

北海道大学大学院 情報科学院 情報科学専攻 情報エレクトロニクスコース/茨城県出身
森田 彩乃さん

量子の世界への探究心と
北海道での新生活

高校時代から量子力学という目に見えない世界の現象に興味を持っており、その勉強をして知識をものづくりに活かしたいという想いで、北海道大学へ進学しました。茨城県つくば市から北海道へ来ることに特に不安はありませんでしたが、実際に生活してみて意外だったのは、室内が暖かく、冬の寒さをほとんど感じないことです。むしろ帰省したときの方が家の中で寒いと感じるほどです。研究に没頭しながらも都市部での充実した時間を過ごせる環境も気に入っています。知り合いがいない土地だからこそ得られる自由さがあり、自分の気持ちに真摯に向き合い、なりたい自分を目指して毎日過ごせることは大きな価値があると感じています。

半導体との出会いと研究の醍醐味

半導体業界に本格的に興味を持ったのは、学部4年生で研究室に配属され、実際に半導体製造工程や測定を自分の手で扱い始めてからです。ちょうどその時期はRapidus(株)の設立が発表され、日本が半導体産業に大規模な投資を始める転換点でもありました。半導体が今後の産業インフラとして必要不可欠であること、そして先端半導体が様々な最先端技術が凝縮された結晶であることを知り、この分野の奥深さに引き込まれました。研究内容そのものの面白さと、半導体業界の急速な発展の過程に携わることで成長できる実感があり、学び続けたいという気持ちになりました。実験で期待通りの結果が出た瞬間はもちろんですが、それ以上に、これまで分からなかったことが分かったときの達成感は何物にも代えがたいです。日常生活では決して実感できない量子力学に基づく現象を実際に観測できることや、研究室の仲間や学会で出会った先生方と議論を交わす時間は、研究の醍醐味そのものです。

北海道の可能性と
未来への期待

現在の北海道は、製造された半導体を利用する顧客企業が多いとは言えない状況です。先端半導体を作った後にどう活用するのかを考え、顧客企業を巻き込み発展できるかが重要だと考えています。しかし将来は、北海道の広大な土地や千歳のアクセスの良さ、寒冷地ならではの冷却効率を活かして、新規の事業開発が盛んになると期待しています。今は道外に就職する学生も多いですが、北海道の半導体産業が就職先として選ばれ、利益が地元に還元される未来を描いています。私にとって北海道は、最先端の研究に携わって半導体技術を学び、自分の好奇心を追求しながら社会に求められる人材へと成長できる理想的な環境です。